第一節

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夜の海はいい。 寄せてはかえす波の音は子守歌のように心地よく、夜空に浮かぶ月は優しく私を照らしてくれる。 私は何か落ち込む事があった時、いつも夜の浜辺に来ていた。                ……テストの事で、お父さんに怒られた。 高校に入って初めての中間テスト。結果は、良かったとは言えないかもしれない。 でも、私なりに一生懸命勉強して頑張った。                「社会に出たら結果しか見てくれないんだっ!」                分かってるよ。そんな事。 でも、私はまだ高校生。社会に出た訳じゃない。 過程を見てくれてもいいじゃない。 「バカ親父……」 膝を抱え、顔をうずめる。 いいよ。どうせ私なんか……。
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