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「そこに居るのは彩音かい?」
私を呼ぶ声がする。
後ろを向くと、真(まこと)君が立っていた。
「あぁ、やっぱりそうか。どうしたんだ?こんな時間に」
真君は、私の隣に座りながら訊きいてきた。
「別に……。真君こそどうしたの?」
「俺か?俺は夜の散歩だよ」
「そう……」
「何か元気ないなぁ。何かあったのか?」
落ち込んでいる気持ちが、声に出てしまったのかもしれない。
「何でもないわよ」
話したくない。
今は一人になりたかった。
「ふーん。ま、時期が時期だ。テストの結果で親御さんに怒られたんだろ?」
「……」
真君は、妙な所で鋭い。
「ははぁ、図星だな」
「うるさい」
得意気にならないでよ。
人の気も知らないで。
「やれやれ、相当頭に来てるなこりゃ。仕方ない。ちょっと待ってろ」
そう言って、真君は立ち上がった。
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