第一節

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                                             その音色は、寄せてはかえす波のように心地よく、夜空に浮かぶ月のように優しかった。 でも、どこかあやふやで。                                              真君を嫉ましく思っていた自分が、情けなくなった。 真君はいつも優しい。こうして今も、慣れないハーモニカを吹いて私を励ましてくれている。                私は知っている。 高校受験の時、真君は毎日遅くまで勉強していた事を。自分の事で手一杯の筈なのに、私に勉強を教えてくれた事を。 真君はいつも一生懸命だった。 それを嫉ましく思うなんて、私はなんて馬鹿なんだろう。
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