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「どうだった?」
演奏が終わったみたい。
得意気なのがむかついたから、
「ヘタクソ」
と言ってやった。
「うるせぇやい」
真君は、はにかんだように笑って、
「良かった。元気なったみたいだな」
と言った。
……やっぱり優しいな。
真君なら、私の疑問に答えてくれるかも知れない。
「……ねぇ、真君」
「ん?なに?」
「どんなに頑張っても誰も振り向いてくれない時、私はどうすればいいんだろう?」
「……簡単な事さ」
真君は月光で輝く波間を見ながら、言った。
「そんな時はな、追い越してやればいい」
不思議な答えだった。
「追い越す?」
「そうだ」
真君は頷いた。
「どんなに頑張っても、誰も見てくれないんだろ?
だったら、もっともっと頑張って、そいつらを追い越してやるんだ。そうすれば振り向かせる必要なんて無くなる。
だってそいつらの目には、お前の背中が映っているんだから」
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