売り買い

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ピアスで千切れた耳が痛い。どんどん血の染みが広がる上着を見ながら安い命なのだと実感した。 やがて家族が持ち場から戻り、いつも道理の夜が来た。 顔の傷を心配する母に呆然とする父親。まさかこんなときに遊郭に売られる話なんてできない。安い命で出来た家族なんて、いくらでもばらばらに出来るのだろう。治療しようとする両親を振り払い、そのまま寝台に潜り込んだ。 安い命の価格はつり上げることも出来ない…そんなことばかり考えながら眠りについた。
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