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慌てながら上着の前をゆるめる。前の世界で栄えていた文化の、キモノとゆう物に似た形だ。男は後ろからずり下げ、堅甲骨が見えるくらいで手を離した。
「全てこの針にかかってる。お前の願いの重さと体の強さ次第で死ぬか失敗かに変わる。死にたく無いなら悲鳴あげながら部屋から出ろ」
選択枝に死ぬが入るとは予想外だった。所詮一筋縄ではないのだ。
「か、かまいません。今の時点で死んでる…!?」
言い終わらぬ内に切味の悪いもので切られる様な痛さが背中を走った。脊髄を駆け、脳幹から大脳に散るのが伝わる。
「あが…ぁあがあっ!!」体が動かなくなる程痛い。
「耐えろ。命の価値を変えるには、お前にはこの手段しかない」
「な…ぜ…、それ…を…!?」
自然とふきだす涙で前がよく見えない。出せる声も殆どない。
「針がお前を教えてるんだよ。これで最後だ」
背中に何かが深く突き刺さった。体を焼けるような熱が走り、視界を闇が覆った。
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