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早速ふたりは商店街に向かった。そして今にいたる。
アライグマどころか野良猫すら居ない、商店街にはふたりの他に誰も居ない。寂れたこの町は今や人口が減る一方、商店街を抜けた先にあるのは市役所と市民病院、その近くマンションに依頼人は住んでいる。アライグマを見つけたらその足で連れていける。
早く見つけたら、その分だけ早く金が受け取れると柁間迅騎は真剣にアライグマのシンを探していた。美佐子は名前を呼びながら、商店街の奥へと進んでいく、迅騎はポリバケツを蹴り倒し、煙草をくわえて辺りを見渡しながら美佐子についていった。
商店街の中ごろ、シャッター街で唯一の店のパン屋から香ばしい、出来立てのパンの匂いがしてきた。とてもいい匂いだったのか迅騎の足は自然とパン屋に向かっていた。
「おーい、おっさん。パンちょうだい」
店先でパン屋の主人がしゃがみながら何かをしていた。気軽に話しかけると主人は立ち上がり、愛想のいい顔で「いらっしゃい」といい、店に入っていった。
迅騎は主人がパンを持ってくるのを待つため、店先でくわえていた煙草にジッポーで火を点けた。すると足下になにかしらの気配を感じ、足下を見た。
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