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「食い逃げだ迅騎」
「食い逃げか」
迅騎は彼の言葉を繰り返すと男が走り去っていった方を見た。
「おい、迅騎! 食い逃げ野郎を捕まえてくれ」
「わかった」
怒りに顔が青くなった高橋の願いに迅騎は軽く了承した。だが、高橋の肩にぽんと手を置き、「報酬は貰うぜ」と悪い笑みを浮かべた。
そんな訳で各地で聞き込み、ついに男の自宅を突き止めたのだった。
そんなわけでは夜、柁間迅騎と木下美佐子はさっそく食い逃げ犯のアパートを訪れ、逃げようとした男を捕らえたのだった。
犯人、佐々木勇武(ささきいさむ)は二十四歳。フリーターだ。どうやら金に困ってやってしまったのだと言う。
「悪いがわっぱをはめるぞ」
と、言うが取り出したのはビニールロープ。それを後ろに回した手首に巻き付けた。
「ブタ箱に入れてやる」
「迅騎さんは警察じゃないんですから入れれませんよ」
「黙っとけ」
男の尻を蹴りながら美佐子を罵るとマイカーの黒いベンツに彼を乗せた。
ブツブツと呟く美佐子に乗れと促し、美佐子は渋々と助手席に乗り込んだ――――
「ははははッ! よくやってくれたな二人とも」
食い逃げ犯を高橋ラーメンに連れていき、高橋大器は彼の話を聞いて涙を流し、彼の罪を許し、雇うことに決めた。
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