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佐々木勇武は職が見つかったことを喜び、上機嫌で帰っていった。
迅騎は「ヒヒヒ」と不気味な笑みを漏らしながら高橋に報酬を求めた。
そして報酬は今や迅騎と美佐子の胃袋の中。報酬のラーメンは二人の空腹の腹を満たした。
美佐子は満足したらしいが迅騎はごりぷっくだ。金を求めていたのだろうがラーメンだったことに怒ったのだったが静かに麺を啜っていた。
「どうだい美佐子ちゃん。俺のラーメンは?」
「とても美味しいです」
「そりゃ当たり前だ。ははははッ!」
高橋のおじさんはとても優しい人だった。初めてこの店で食べたラーメンは驚くほど美味かった。
フレンドリーな性格な彼に対して迅騎はコップの水を一気に飲み、高橋に言った。
「下らねえ味だ」
冷たい一言に美佐子は少しだけ口答えをした。
「迅騎さんの舌は可笑しいんですか? 美味しいじゃないですか」
「まあまあ。こいつはこうは言っているが実は美味いと思ってるよ。俺なら分かる」
長い付き合いなのか、胸をはって彼は言った。迅騎は舌打ちをして店から静かに出ていった。美佐子はここぞとばかりに愚痴を漏らした。
「迅騎さんってムカつきますよね。客が来ないわけが分かりますよ」
「そう言ってやんなよ」
だが、美佐子の迅騎に対する印象と逆の口ぶりで彼は言った。
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