14.

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「見惚れてた。」 私が素直にそう言うと、駿君がちょっと目を見張って、そしてふっと笑うと耳元で囁いた。 「お仕置きしなきゃ。」 「何でお仕置きなの!」 駿君は痴漢みたいに私のお尻を軽く撫でて、買ってきますと店員の所に戻って行った。 セクハラめ! 一歩出遅れた私は慌てて駿君の元に駆け寄る。 「他に欲しいものない?」 私を見つめながら、思案気な顔で駿君が言う。 「ボクサー…」 「それ以外!」 「う~ん…美佳子さん?」 首を傾げながら、ちょっと得意気に笑うとそう言う。 「だ、か、ら!」 鼻息の荒い私が可笑しいのか、笑いながら目を細めて私の頬をするりと撫でた。 「分かってます。じゃあ…」 これも下さいと店員に渡したのは、シンプルなチェーンのブレスレットだった。 そして、ちょっと照れ臭そうに言った。 「彼女からの贈り物、です。」
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