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「もうすぐバレンタインだよね、美佳子さん♪」 「何言ってるの?」 私が慌てて否定するも、手作りチョコ?等と言いながら藍子は電話を切った。 最近、やっと藍子とも普通に話が出来るようになった。 今年の春の惨劇は私の精神を蝕んだと言っても過言ではなかった。 廣田さんの事は藍子も会ったことがあり、私に凄く気を遣っていることは分かっていたから殆ど会わないようにしていた。 藍子も今日みたいな軽口が叩ける会話で、少しは安心してくれただろうか? でも、下らないかもしれないが桜木君との交流は心が清められるような気がしていた。 冷静沈着で、だけど凄くひたむきで、大人びているけど瑞々しい少年、な桜木君。 私には無いものを持つ彼は、憧れでもあり、永久に手の届かないものでもある。
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