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まさか、そんな私が藍子の言葉通りに桜木君にチョコを渡すことになるとは思ってもいなかった。
………
バレンタインデー前の日曜、私は山田茜ちゃんと吉田美樹ちゃんに頼み込まれて街の百貨店まで保護者として付き添わされていた。
中学2年生二人だけでは心許ない距離だから、泣きつかれては断りきれない。
まぁ、暇潰しにでもと重い腰を上げたのだが…
「先生、ちゃんと付いて来てくださいよ!」
と美樹ちゃん。
「やる気ないなぁ、先生は。ダメだよ、ちゃんと選ばなきゃ!」
と茜ちゃんにダメ出しを食らい、私は人だかりの中に連れ出されていた。
「ちゃんと選んでね!」
「え…誰に?」
恐る恐る聞くと二人が声を揃えて言った。
「桜木駿に!」
「何で?!」
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