2176人が本棚に入れています
本棚に追加
女子大生が中学生の恋のバトルに参戦すれば、文句なしに…犯罪だ。
でも、意外に“女”である女子中学生には“年上のオネエサマ”という代名詞は有効なようだ。
本気で参戦したら私は“痛い奴”だが、どうしても駆り出したいらしい。
「分かった…買えば良いんでしょ?」
観念した私に、二人はきゃーっとはしゃぎながらチョコレートを物色し出した。
私は去年のこの時期を思い返していた。
あの頃の私は、廣田さんに買うチョコを真剣に選んで悩んでいた。
藍子は苦笑いしながら付き合ってくれてたな。
今の私みたいに。
「先生、どれにする?」
二人の声に私はハッと現実に引き戻される。
もう二度と廣田さんにチョコを渡す事さえ出来ない。
私は込み上げてくるものを無理矢理飲み込みながら、彼女達のチョコレート争奪戦に身を投じた。
最初のコメントを投稿しよう!