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女子大生が中学生の恋のバトルに参戦すれば、文句なしに…犯罪だ。 でも、意外に“女”である女子中学生には“年上のオネエサマ”という代名詞は有効なようだ。 本気で参戦したら私は“痛い奴”だが、どうしても駆り出したいらしい。 「分かった…買えば良いんでしょ?」 観念した私に、二人はきゃーっとはしゃぎながらチョコレートを物色し出した。 私は去年のこの時期を思い返していた。 あの頃の私は、廣田さんに買うチョコを真剣に選んで悩んでいた。 藍子は苦笑いしながら付き合ってくれてたな。 今の私みたいに。 「先生、どれにする?」 二人の声に私はハッと現実に引き戻される。 もう二度と廣田さんにチョコを渡す事さえ出来ない。 私は込み上げてくるものを無理矢理飲み込みながら、彼女達のチョコレート争奪戦に身を投じた。
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