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丁度、同じ車に同乗して送って貰った時だった。 後部座席に座った私達は殆ど初めて会話らしい会話をした。 2つ年上の彼は人見知りの私に色々話し掛けてくれた。 会話自体は憶えていないが、押し付け等ない会話は彼の失敗談や、今の興味のある事の話や、私が答えやすい質問だった。 紳士的な対応と、無邪気な笑顔に私は恋に堕ちた。 その日以来、廣田さんとどうしたら会話が出来るだろう、とそればかり考えていた。 恋愛なんて殆どした事がなかった私は、初めての情熱に暴走気味だった。 クリスマスの前週にサークルの飲み会があり、終わった後に彼に告白をした。 彼は困った顔で私を見て言った。 「俺、好きな人がいる。」 「付き合うんですか、その人と?」 私は、食い下がった。 はいそうですかなんて言って諦めるなんて出来なかった。
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