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「…相手は俺の事知らない。」
構内で一目惚れをしたという彼に私は、言った。
「じゃあ二番目で良いです。」
「え?」
「先輩に彼女が出来るまで試しに付き合って下さい。」
「美佳子ちゃん…」
「嫌になったら捨てて下さい。」
まさかの私の押しに彼は度肝を抜かれたようだった。
思案気に私を見ていたがため息一つ吐いて言った。
「分かった。」と。
私は、楽観視していた。
一目惚れを軽く見ていた。
身近にいたもの勝ちだと、どこか高をくくっていた。
積極的に行動する私に彼は最初は為すがままで、私達は深い関係になった。
私は、益々彼にのめり込んでいった。
なのに、廣田さんはどんどん言葉少なくなり、年が明け、桜の蕾がちらほら見られるようになった頃に私に言った。
「もう止めよう。」
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