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「どうして?」
私は、突然の言葉に思わず問い詰めていた。
「俺、やっぱりあの人が好きなんだ。フラれるかもしれないけど、ちゃんと告白したい。」
彼はキッパリ言い切った。
もう昨日までの、私を甘んじて受け入れていた彼はいなかった。
「…相手は廣田さんの事を知ってるの?」
「この間、初めて挨拶した。」
「彼氏、いるかもしれないじゃない。」
「彼氏、いないって。」
挨拶しただけじゃないの?
全くの他人だったくせに。
殆ど毎日私と会っていたくせに。
私を何度も何度も抱いたくせに。
私が知らないところで彼女と交流していたなんて。
「今度、二人で会うんだ。」
私は、何だったの?
「へぇ、そうなんだ。」
俯き加減でそう言った私に、罪悪感はあったらしい彼は困った声で私に言った。
「ごめん。」
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