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「“橘陽子センセ”って呼ばれるわけ?何か変な感じ。」
私が声色を変えて、乙女チックに言うと、陽子がプッと吹き出した。
「美佳子ちゃんだってバイトでは生徒に、遠藤先生って言われてるんでしょ?」
まあ確かにそうなんだけど。
「まさか二人で母校の中学校のテニスコートに来ることになるなんてね。」
と陽子が笑う。
「しかも変質者並みに、車の中から覗くなんてさ。」
私達はハッキリ言って浮いている。
このテニスコートではただの部活動が繰り広げられているだけで、別に試合会場などでもない。
陽子は教育実習中で、昔は軟式テニス部だったからギリギリオッケーだけど。
私はただの塾の講師で、生徒の桜木くんを見に来たちょっと変なお姉さん、だ。
きっと塾の生徒の山田茜ちゃんや吉田里美ちゃんと見に来れば良かったんだろうけど。
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