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独りよがりかもしれないけど…駿君の為なら命を差し出す事だって出来ると思う。
「何だか、人魚姫を思い出したよ。」
浩太君がポツリと言った。
最後は泡になって消える人魚姫ね。
「そんなに綺麗なものじゃないけど…」
私が戸惑いながら否定すると、ううんと浩太君が笑った。
「綺麗だよ。美佳子ちゃんは心も顔も綺麗。」
私はなんて返して良いのか分からずに、また無意識にコップを手にとった。
「美佳子ちゃんの言いたい事は分かったよ。でも、だからといって俺の気持ちが消えてしまう訳じゃないから。」
「…うん」
それは良く分かる。
相手が誰を好きであれ、だからといって嫌いになんてなれない。
でも…
「でも、もう二人では会わないから。」
「…分かったよ。」
私に出来る事はこれくらい。
浩太君の事を自分自身に置き換えた結果だよ。
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