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「ゴメンね、駿君。」
何度目かの謝罪を口にする私に、目の前にドッカリ腰を下ろした彼は無言で私をチラリと見た。
「思ったより早く話が終わってしまって、駿君を呼ぶ前に浩太君が帰ってしまったから…」
もう一度、ゴメンねと言いながら駿君のご機嫌を窺うように見ると、彼は目の前にあったメニューを手に取ってパラパラ捲り出した。
自然に寄ってきた店員に、アイスコーヒーとだけ伝えるとやっと私の方に目を向けた。
無言で息を飲んで駿君を見守る。
「まあ…良いですよ。」
もう、と言いながらもお許しが出た事に私が相好を崩すと、ふぅと大袈裟にため息をついてみせた。
「で?」
言葉短く促す駿君はちょっと拗ねたように唇を尖らせる。
カワイイ、なんて思って頬を弛めるとじとっと睨まれた。
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