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メンズファッションの階に移動して、何か今欲しいものがないのと尋ねると、ボクサーパンツなんて言葉が軽やかに返ってきた。
「美佳子さんの好みのを選んでくれる?」
「却下!」
くすり、と笑うと私の手を引いてお店に入った。
モダンでクールなデザインのシャツやスーツが並ぶ店内で駿君が愛でるようにゆっくりと一つ一つの商品を見て回る。
「バーで着るシャツを買おうかな。」
独り言のように呟くと、絡んだ手をそっと外した。
商品を手に取ると、すかさず店員が近付いてきて駿君と話し出す。
私は少し離れてその様子を眺めた。
何を着ても馴染んでしまう。
駿君を取り巻く空気自体が格好良いんだなぁと納得した。
ちょっとした仕草や、筋肉の動きや、微笑む口元や…全てが魅力的。
ぼんやりと駿君を見ていた私に、駿君が近付いてくる。
「どうしたの?」
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