14.

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……… 救急車が小道から大通り出る所に横付けされて、何人かの人が近付いてきて、駿君を担架に乗せて運んで行く。 警察官がマミさんに話し掛けている。 私は、誰かに一緒に行きますかと声を掛けられ、声もなく頷いた。 その人が座り込んだままの私の腕を取って立ち上がらせて、下を向いたままの私はその拍子に駿君が倒れ込んでいた地面を見つめて… あまりのおびただしい血の量に、目眩を覚えた。 大丈夫?と聞かれて頷こうとした瞬間に目の前が暗くなり、遠くで誰かが叫んでいるのを聞きながら意識を手放した。 意識を失う直前に、駿君の顔と同時に廣田さんが頭に浮かんだ。 駿君、まさかこのまま会えなくなるなんてないよね? ああ、お願いだから死なないで。 私はそう祈りながら意識を手放した。
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