2171人が本棚に入れています
本棚に追加
………
…………
……………
変な夢を見ていた。
どれだけ前に進もうとしても人の流れに乗れず、私だけが泥沼のような地面に飲み込まれそうになり埋まっていく。
周りの人達は私に全く気が付いていない。
叫ぼうとするのに、全く声が出ず、私の目の前に見慣れた駿君の背中が見えて、慌てて腕を伸ばすのにどんどん地面に体が沈み込んでいく…
「駿君!」
自分の切羽詰まった声に驚き、私が目を覚ました時には、診察台のような所に横たえられていた。
微かな薬品の匂いや、白い壁を見て、先程の駿君を思い出す。
勢い良く立ち上がった私に、椅子に座っていたマミさんが慌てて手を伸ばした。
「大丈夫?」
「…大丈夫です。駿君は?」
ああ、と低い声で呟くと、マミさんが首を横に振った。
最初のコメントを投稿しよう!