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「私は後から行くから先に行ってて。」
マミさんがひらひらと手を振った。
私は頷くとそのまま看護師さんの後を追った。
駿君は相部屋のベットの1つにいるようだ。
ただ、看護師さんに引き入れられた部屋は駿君以外は誰もおらず静寂だった。
駿君の所だけ目隠しのカーテンが閉じられている。
私はそっと近付き、駿君、と呟いた。
「美佳子さん?」
掠れた声で駿君が応える。
「どうぞ入って。」
駿君の声を聞きながら私はソッとカーテンの隙間から中に入る。
先程まで隣を歩いていた駿君は今や血の気のない顔でベットに横たわっている。
刺されたのが脇腹辺りだから、見た目は外傷もなく具合が悪くて少し休んでいた、といった風だ。
「美佳子さん、ゴメンね。」
駿君がちょっと悲しそうな顔で私を見ていた。
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