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「駿君が死んじゃうんじゃないかと思った!」
廣田さんの亡くなった時の気持ちが凄い勢いで蘇ってくる。
「死なないよ。」
どこまでも穏やかな駿君の声が響く。
でも、私は先程の虚ろに閉じた駿君の瞳を思い出す。
血に染まったシャツを、地面に出来た鮮血の水溜まりを、救急車のサイレンを、だらりと下がった駿君の腕を…
「生きていけない…」
「美佳子さん?」
もう抑えきれないこの感情。
「駿君が死んだら…私は…生きていけない。」
「僕もだよ。」
駿君が私の耳元で囁いた。
「え?」
涙でぐしゃぐしゃになった私の髪を指先で丁寧に撫で付けて駿君がもう一度、ハッキリと言葉にした。
「僕も美佳子さんがいないと生きていけない。」
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