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動じることもなくそう言い切って、柔らかく笑う駿君。
「…のくせに。」
私のドロドロとした心の呟きが、とうとう言葉となって病室に流れ出す。
「なに?美佳子さん。」
「好きな人がいるくせに。」
絞り出した言葉に対して、うん、と軽々と肯定する駿君の口元を呆然と見つめる。
「好きな人くらいいるよ。」
「だったら、僕も、なんて言わないでよ。」
苦しくて声が掠れる。
でも、駿君は私の手を強く握って歌うように言った。
「美佳子さんが好きだよ。」
「え?」
でも、それには大した意味はないでしょう?
「美佳子さんがいないと生きていけない。」
どこまで私に意地悪言うの?
どうしてそんなに綺麗に笑っているの?
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