15.

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動じることもなくそう言い切って、柔らかく笑う駿君。 「…のくせに。」 私のドロドロとした心の呟きが、とうとう言葉となって病室に流れ出す。 「なに?美佳子さん。」 「好きな人がいるくせに。」 絞り出した言葉に対して、うん、と軽々と肯定する駿君の口元を呆然と見つめる。 「好きな人くらいいるよ。」 「だったら、僕も、なんて言わないでよ。」 苦しくて声が掠れる。 でも、駿君は私の手を強く握って歌うように言った。 「美佳子さんが好きだよ。」 「え?」 でも、それには大した意味はないでしょう? 「美佳子さんがいないと生きていけない。」 どこまで私に意地悪言うの? どうしてそんなに綺麗に笑っているの?
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