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「もう嫌になった?」
駿君の声が無機質な病室に響く。
今までどうしても離せなかった駿君の手。
いつも私を見捨てないで差し伸べてくれた手。
「…うん。やっぱり、お互いの“好き”が違うからどんどん苦しくなるよ。」
私は駿君の手をソッと振りほどいて、立ち上がった。
「美佳子さん…」
駿君が私を呼ぶ。
でも、私は返事が出来ない。
苦しくて息が出来ない。
“本命の彼女と幸せになって”
言ってあげたいけど、声が出ない。
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