2171人が本棚に入れています
本棚に追加
「何が違うの?」
だから、まったく無防備だった背後から突然響いた声に、私は心の底から驚いてキャッと叫んんでいた。
カーテンがサッと開いて、重苦しい空気を引き裂いて覗いた顔はマミさんだった。
「で、駿の好きとあんたの好きは何が違うの?」
突然来た割りには、図々しくも私の隣の椅子に座り込んで、部外者のくせに核心に迫る質問をぶつけてくる。
「…何で貴女に答えなきゃいけないの?」
「第三者から見て、じれったいからよ!」
先程までのしおらしい彼女が嘘のように、鬼のような形相で私を見つめたマミさん。
今までの、色気たっぷりの女らしさのひと欠片もなかった。
「で、答えなさいよ。何が違うの?」
ちゃんと答えなさいよ、と有無も言わさぬマミさんの鶴の一声。
眼光の鋭さは半端なく、反論しようものなら食い殺されそうな勢いだ。
圧倒された私は諦めて、腹を決めて、それでも言いたくない言葉を口にすべく重い口を渋々開いた。
最初のコメントを投稿しよう!