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「駿君には好きな人がいるから。」
「あんたでしょ?」
「私はただのセフレ。偽の彼女。」
「は?」
マミさんの声は今度は駿君に向けられた。
「駿、どういう事?あんたの彼女じゃないの、この女は。」
駿君はふう~っとため息をついた。
「美佳子さんはそう思っている。」
「…どういう事?」
今度は私が混乱する番のようだった。
「美佳子さんには忘れられない人がいて、だから騙して彼女にしたんだ。」
駿君の静かな口調にマミさんまでが呆気に取られた顔で駿君を見ていた。
「あぁややこしい…で、あんたはその忘れられない人が未だに忘れられないの?あんたは一体誰が好きなのよ!」
もう苛々した態度を隠すこともせず私に詰問するマミさんに反抗する気も失せて私は小さく呟いた。
「し、駿君…」
はあ~っとマミさんがため息をついて意外に大きな手で私の背中を叩いた。
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