2171人が本棚に入れています
本棚に追加
黙りこくった私に駿君が手を伸ばす。
「美佳子さん。」
私はもう一度、膝をついて駿君の枕元に近付く。
駿君の口からどんな言葉が飛び出すのか予想もつかず、この一瞬の間も怖い。
怖くて怖くて仕方がない。
駿君の顔も勿論、見ることなんて到底出来なかった。
「ねえ、美佳子さん。」
駿君が私の髪を軽く撫でながら独り言みたいに言う。
「初めて出会った時の事、覚えてますか?」
うん、と頷くと、ふわりと笑った。
「初めまして桜木駿くん、て美佳子さん言ったんだ。目が合った瞬間に僕は美佳子さんしか見えなくなった。」
衝撃的だったよ、と笑う駿君。
私は思わず視線を上げて、駿君の眼差しとしっかりと絡み合った。
最初のコメントを投稿しよう!