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私は駿君の髪にソッと手を伸ばした。
撫でながら駿君の額に唇を落とす。
「気持ち悪い訳ない。」
私だって、廣田さんにストーカー紛いな事をしていたしね、と笑って言うと駿君が羨ましいと呟いた。
何とも気恥ずかしくて、口を閉じる。
「だから、大学に入って美佳子さんと同じバイトに入った時には、もうそれだけでも嬉しくて。でも、悪い虫がつかないようにするのが大変だったし、気が気じゃなかったよ。」
駿君の言葉を聞きながら、過去に遡って思い起こしてみる。
「駿君って凄いね…全然知らなかった。」
「うん。失敗は許されないから、凄く気を遣ったよ。まさか、あんなに簡単にチャンスがくると思わなかったけど。」
クスクス笑う駿君の指している事が、私の酔った時の挑発だと分かったが、バツが悪くなって知らんふりを決め込んだ。
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