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そんな彼女達に今日の事を話そうものなら“裏切り者”、果ては“先生は桜木君が好きなのね”と続くはず。 実際に、桜木君はカッコ良いし人気があるんじゃないと何気なしに彼女達に言った時は酷い目にあった。 “先生は男を見る目がない”“先生は趣味が悪い”“先生は桜木君を狙っているのか”と散々な言われようだった。 思春期の女の子の心理はよく分からない。 私はどちらかと言うと女の子より男の子と居る方が楽だったし、あんまり恋愛話には参加もしなかった。 まあ、6つも年が違えば中学生の恋愛事情も変わるのかもしれない。 「桜木君、あの子かぁ。」 陽子が彼を見つけて声を上げた。 「確かにカッコ良いし、中2には見えないね。」 私を見ながら意味ありげに笑う。 「でも同世代の女の子からは人気ないらしいよ。」 私は素知らぬ振りで返す。
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