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道具……?
ていうか、馬鹿じゃない人間なんていない。
ロボットじゃないんだから、頭にネジなんかない。
希咲はそう言い返そうとしたけれど、きっと刹那のことだ、また馬鹿にされながら言い返されるだけに違いない。
「道具って、どんなの使うの?」
希咲は最初に思った疑問だけをぶつけてみる。
「直ぐに分かる。ついて来い」
刹那はそういうと、また歩を進め部屋から出ていった。
希咲は慌てて刹那の後を追った。
3
「今日もあの娘、刹那の所に来たわね」
「刹那も隅にはおけないなぁ」
ニヤニヤと巫女さんの容姿を纏った女性が二人、縦箒を持ちながら話していた。
「いつからあんな可愛い子を口説いたのかしら?」
紺色で腰くらいまであるストレートの髪をした、少し吊り目の女性が言った。
「ナンパとか?」
紺色でショートヘアの垂れ目だけれどぱっちりとした目の女性が言った。
「刹那はそんなことしないって、美輝も分かっているでしょう?」
ショートヘアの垂れ目の女性を美輝というらしい。
「じゃあ、他に何があるの?那美姉ぇは分かるの?」
美輝はそういって、ロングヘアーの吊り目の女性、那美に聞いた。
「はっきりとは分からないけど、多分あんな感じなんだろうなぁ、くらいなら」
那美はそういって、またニヤついた。
4
「だから、俺にもやらせろって言ってるだろっ!」
堂本洋史、現在課長と揉め合い中。
「この捜査は、我々だけで解決出来る!お前の力など必要ない!」
このハゲ面が、この間の事件の借りを忘れちまったってか?!
堂本はとてつもなく怒りを感じていた。
それは、先日起きた連続ひき逃げ事件。
同人物と思しき犯人が、女子高生を狙ってひき逃げするという話し。
轢かれた彼女達は全員死亡。
強い打撃で内蔵破裂をする者もいれば、骨が折れて肺や心臓に刺さり死亡する者もいた。
堂本は、この連続ひき逃げ事件の担当者の一人でもあった。
しかし、つい先程、課長に抜けるように指示されたのだ。
「俺は一人でも捜査をするぜ?誰になんて言われようと続ける!事件の捜査は人数じゃねぇ!如何に早く解決させるかだ!」
そう怒鳴り散らしながら堂本は出ていった。
課長の呼び止めにも無視して、一人単独行動に出た。
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