1.銀色の瞳が語るもの

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5 「刹那、なんで台所に来たの?お祓いとかそういうのはやらないの?」 刹那と希咲は台所に着ていた。 「アンタは何かに取り憑かれているのか?」 刹那は馬鹿にしたような言い方で希咲に聞いた。 「私、取り憑かれてなんかないわよ……たぶん…」 希咲が自信無く言うと同時に、刹那は塩を取り希咲を横目で見ては口を開いた。 「心配するな。アンタに悪い霊は取り憑いていない」 希咲はそれを聞いて、ほっと胸を撫で下ろした。 「一人、男の霊は憑いているけど」 刹那がボソッとそういうと、希咲は顔色を悪くさせた。 「男の……人?」 希咲は刹那にそう聞くと、刹那は相変わらずの口調で答えた。 「多分、この男がアンタに夢を見させているんだと俺は思う」 「どうして……」 希咲は不安な気持ちを隠せずに刹那に聞く。 「アンタに伝えたいことでもあるんじゃない?顔も似ているから、お兄さんだと思うけど?」 刹那がそういうと、希咲は目を大きく見開いた。 「お兄……ちゃん…?」 刹那は希咲の言葉を聞きながら塩を渡した。 「お兄さんはアンタに何か伝えたい事がある。いくら聞いても俺には口を開かない。アンタに直接言いたいんだろう。それでも夢を見たくないなら塩を嘗めて眠ればいい。そしたら例の夢も見ないと思うよ」 刹那はそういって退屈そうに希咲の行動を眺めていた。 お兄ちゃんは私に何かを訴えている。 なら私はどうする? ここでもまた、お兄ちゃんの言うことを無視するの? 希咲はしばらく考えていた。 自分がまた無視をしたら、次は誰かが危険な目に合うかもしれない。 そう思った。 「相談しに来といてあれだけど、やっぱいいや。お兄ちゃんが私に何かを訴えているのなら、私はそれを聞く権利がある。それが意味するものが何かを知らなくちゃいけない気がするから、これは返すよ」 希咲はそういって、刹那に渡された塩を返した。 「珍しく、俺はアンタの意見に賛同だ」 刹那はそう言いながら返された塩を元の場所に戻した。 「たまに、それでも構わず塩を手に取る人がいる。俺はそいつらの気持ちが分からない。理屈を言えば分かりはするが、それでも分からないものは分からない」 刹那は台所を出ながら話した。 「それは…。多分、怖いからじゃないかな。家族であっても、死んだ人の魂がくっついて着ているわけでしょう?」 刹那の疑問に希咲は聞き返すように答えた。
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