1.銀色の瞳が語るもの

5/11
前へ
/11ページ
次へ
「家族なのに、何故恐れる?アンタみたいに受け入れられて当然だろ?」 刹那が希咲にまた聞き返す。 「虐待とか、愛情を感じられない家庭だったら、恐怖を感じるんじゃない?だから、死んだ後も取り憑いているって知ったら怖く感じるんだと思うよ?」 希咲が刹那にそう言い返すと、刹那は足を止め希咲をジッと見た。 いつもなら全然見向きもしないため、希咲は少しドキッとした。 「アンタも、そこまで馬鹿ではないらしいな」 刹那は希咲に向かってそういって、また歩き出した。 希咲は、はっとして刹那の後を追いながら叫んだ。 「試したの?!」 「俺があれくらいも分からないと思ったのか?」 うっ…、そういわれるとちょっと痛い。 一瞬だったとはいえ、実際そう思ってしまったからどうすることも出来ない。 仕方なく話しを変えようと思い何処に行くのか聞いてみる。 「あ、ねぇ、何処に向かっているの?」 「散歩だ。アンタには関係ないだろ」 ついて来て欲しくなさそうな言い方ね…。 「私も一緒に散歩する」 刹那は片眉を上げまた足を止めた。 「どうしてアンタも一緒に来るんだ?俺は一人になりたいんだ」 嫌そうな顔をする刹那を見ながら希咲は答える。 「暇だから。それと、一人になりたいなら私を空気だと思えばいいよ」 私がそう返すと、刹那は諦めた顔をして歩きだす。 私はそれを了解の意と見てまた後を追う。 少し歩くと、刹那のお姉さん達がいた。 何かを話しているようだ。 希咲が何を話しているのか気になっていると、不意に刹那が声を放つ。 「よくそんな妄想をベラベラと吐けたものだな」 6 「那美姉ぇ、那美姉ぇの予想って何?」 ショートヘアの美輝が、那美に話し掛ける。 「多分だけど、あの娘は何らかの霊的トラブルを持っていた。ある日、友達か誰かに刹那の噂を聞いた。それを聞いた彼女は、刹那に霊的トラブルを持ち込んだ。刹那と彼女は次第に惹かれ合って恋に落ちた…」 「よくそんな妄想をベラベラと吐けたものだな」 那美が言い終わると同時に声がした。 声の主は分かっている。 生意気で口は悪いが頭が良くて、霊が見える嫌味な弟、刹那だ。 「妄想なんかじゃないわよ!私は予想を言っただけよ」 那美がそういうと、刹那は鼻で笑った。 「アンタは何か勘違いしていないか?予想というのは、物事の成り行きや結果を前もっておしはかること。また,そのようにして得たものの事を指す。妄想と
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加