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「俺の名はカリウス。アイツの名はシリウス。これでここがどこで、俺達が誰か分かっただろぉ?」
カリウスはそう言うとシリウスが去った方へ向いて羽を広げた。
するとスーザンが彼の腕を掴んで落ち着いた口調で話した。
「まだちゃんと理解出来ていないわ。私が聞いてるのは貴方たちの名前じゃない。人間でない貴方たちは、一体何者?」
カリウスはスーザンに掴まれた腕を軽く払い、僕たちに向き直った。
「俺は地界の者だ」
「地界?」
僕はさっきから気になっていたため思わず聞き返していた。
「あぁ……、そうだな、分かりやすく言えば悪魔だな」
「あ、悪魔っ?!」
僕らは目を丸くしながら叫んだ。
目の前に居る人が悪魔だなんて信じられなかった。
悪魔っていったら、なんでもかんでも容赦なく襲い掛かっては、人間を不幸へ陥れるイメージしかなかった。
だから今目の前で親切にいろいろ教えてくれるカリウスが悪魔だなんて、とてもじゃないけど信じられなかった。
「ま、悪魔っつっても、今は力を封じられてっから悪さは出来ねぇんだよ。力を封じられてなければ、最初見た時にテメェらを殺してる」
カリウスは鋭い眼差しで僕らを見た。
蛇がカエルを狙っているような、そんな視線で僕らを見た。
「シリウスは、俺みたいな地界のヤツじゃねぇ。アイツは落界の者だ」
「落界…?」
スーザンは少し困った顔をしながら聞いた。
カリウスが答えようとすると、ユアンが先に説明した。
「地界が悪魔なら天界は天使。落界は多分どちらでもない。つまり堕天のことを意味しているんじゃないかな?」
ユアンがそういうと、カリウスは正にそれだと言った。
「じゃあシリウスは堕天使なの?」
スーザンは再び疑問をぶつける。
「落界の者っていっているんだから、そうじゃない?」
僕はスーザンを横目で見ながら言った。
「アイツは天界から追放されたらからな」
カリウスはそういった。
僕たちはなぜシリウスが追放されたのか知りたくて、またカリウスに話を聞いた。
「追放って…、どうして?何か悪いことでも……?」
僕はカリウスにそう聞くと、カリウスは黙ったまま空を見上げた。
「どうして何も言わないの?」
スーザンは我慢出来なくなってカリウスに聞いた。
「それはアイツの口から直接聞いた方が良い。俺が言う権利はねぇ。多分聞けばアイツはまた哀しみに満ちて狂うかもしれねぇけどな…」
カリウスはそういって僕たちの前から去っていった。
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