11人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
ネフィリムには、魔導好きで聖水嫌いだという噂があるが、それは真っ赤な嘘である。
なぜなら―――。
「フン。こんなモノを余が恐がるとでも? 吟遊詩人よ、そなたは愚かだ」
深紅の燈台煌めく玉座から、ネフィリムが見下ろすのは国王の間の真ん中でリュートを奏でる旅の吟遊詩人。
「…滅相もございません」
リュートの音色が、やけに不吉な和音を響かせて消える。
今や恐れているのは、吟遊詩人のほう。
「そう怖がるな。クク…ならば、見せてやろう。魔導兵、ここに聖水を」
最初のコメントを投稿しよう!