0人が本棚に入れています
本棚に追加
-夜-
私は、夜の庭を歩いているわ。
抜き足、差し足、忍び足。
泥棒みたいね。
でも、私が歩いているのは、自分の庭。
これから、レイの部屋を覗くつもりなの。
彼のプライベートタイムにこそ、秘密が隠されている!そうに違いないわ!
私はお嬢様ですから、執事の個人情報を知る権利があります。
それに、レイはちょっと怪しいわ!
そう。だから、この行為は正しいのよ。
私は決して、ストーカーなんかじゃないわ!
レイの部屋の窓まで来たわ。
カーテンがちょっとだけ開いてる。無用心ね。
私は中を覗き込んだ。
「おお・・・。」
きちんと整理されてる。
流石はレイね。ぱっと見では、証拠は掴めないわね。
こうなったら、直接踏み込むしか・・・。
も、勿論、正当な行動よ!
だって私はお嬢様だもん!
それはそうと。
レイは随分と落ち込んだ様子ね。
昼の失敗を引きずってるのかしら。
だとしたら、悪い事をしたわね・・・。
レイは何やら歩き回ってる。
挙動不審よ?そんなことを外でしてたら、不審者だと思われるわよ?
詳しく例えるなら・・・。
夜中に家の中を覗くのと、同じくらい怪しいわ!
警察の人に連行されちゃう!
レイはまだ回ってるわね。
何かを考えてるようね。
重い表情で、同じ動作を繰り返し続ける・・・。
しかし、不意にそれが途切れた。
レイが転んだの。
何もない場所で。
豪快に。
「格好悪っっ!!!」
思わず、口から叫びが出てしまった。
そう、心からの叫びが。
しかし、レイはすぐに立ち上がった。
そして、ベッドに横になってしまった。
私の声は聞こえなかったのかしら。
よっぽど気が沈んでたのね。
よくよく考えてみれば、今カーテンが開いてるのも、そのせいなのかも。
最初のコメントを投稿しよう!