序章 虚栄の輝き

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すすきのの夜が終わる度、僕は憂鬱だった。ホテルに戻れば王様どころか、一番身分の低い派遣アルバイト君だから。優しい社員もたくさんいたが、「おい、バイト」という感じで顎で指示してくる『社員様』もいた。さすがに今はもう慣れたが、当時の僕にとってそれは脳みそが破裂するくらいのストレスだった。学生時代は部活の世界でもバイトの世界でも結果を出して優遇されていたのに、学歴も資格もなく仕事も遅い社員様に理不尽に怒鳴られたり、責任を押し付けられたりしていたからだ。すすきのの女のコたちはそんな『えた、ひにん』な僕を王様に変えてくれる女神だった。 さて、そもそも、僕が何故こんな性格でこんな人生を歩むようになったのか、次の章から語ってみたいと思う。
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