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日も陰りを見せ始めたころ、ようやく両親が玄関のドアを開ける音がした。
と同時に部屋のベランダに繋がる窓の外で大きなつむじ風が舞う。
「来タカ…葵、続キハ後ダ。
窓ヲ開ケロ!」
「こ、こうか?」
葵は言われるがままに、その窓を開ける。
途端、部屋中を風が荒れ狂った。
騒がしさに部屋に両親がやって来る。
「お、おい、何なんだ一体!?」
部屋の中はもうぐちゃぐちゃである。
「葵、モウ一度、我ヲ懐クノダ」
「え!?そ、そんな事言われても!!」
窓枠に食らい付く葵は飛ばされない様にするので精一杯だった。
「仕方ナイ」
葵の体は今朝方の棗と同様に何かに吊られると、一直線に窓の外に放り出された。
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