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『今日から家族が増えるから』
電話の中から母が唐突な話をする。
は?? 何言ってるんだ?
状況が飲み込めない俺はちんぷんかんぷん。
『そういう訳だからー、オーちゃん、引越しの用意が出来たら駅まで来てね』
「ちょっ! 母さん!?」
――ガチャン
必要最低限の事を言うと、母は俺に有無を言わさず電話を切った。
勿論、俺の頭の中は白紙状態。手に持った受話器からはプーップーッと機械音だけが無駄に繰り返される。
待て、落ち着け俺。
と、取り敢えず……えっと、何をすべきか??
まず荷物をまとめないとな、うん。引越しか……とうとう、この長屋ともおさらばか……――って引越し!?
母さん、引越しって言ったよな? 何故に? 何で?? まさか夜逃げしないといけないような出来事が!? ……今、昼だけどさ。
……ってそんな一人ツッコミなんて置いといて、逃げなきゃいけない状況になるだなんて、一体何を仕出かしたんだ母!!
ん……、でも家族がどうとか言ってたよな?
うむ……意味がわからん。
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