第四章 大樹のように

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「寅さんが亡くなったのは病気と聞いています」 「そうだね」 「ですが、私と会っていた時は、そんな様子が全く感じられませんでした」 「…」 「私の店が開店してすぐに、寅さんが亡くなったと聞かされました」 「…」 「そこに、あなたはー」 「関与していたよ」 それだけ言って、今度こそ黒月は姿を消した。 声をかけるでもなく、後を追うわけでもなく、譲治は悲しげな表情でそれを見送った。
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