第四章 大樹のように

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墓地を出てからしばらく歩き、見覚えのある公園にたどり着く。 そこは、小学生の頃に祖父と来て、三年前に寅と話した公園だった。 「おじいちゃん、寅さん。ありがとう」 目の前に二人がいるかのように感じられ、譲治はぽつりと礼の言葉を述べていた。 そして思い出していた。ここで交わした”2つ”の約束を。 ーもしおじいちゃんがお店屋さんになったら、僕が手伝うからねー 祖父との約束。 ーしてみせますよ、祖父の作り上げた喫茶店よりも笑顔のあふれる店にー 寅さんとの約束。
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