第四章 大樹のように

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「祖父は喫茶店を残すことで、いえ、そうやって私をあの場所へ来させようとした」 「…で?」 「私はずっと、あの場所に行くことで祖父の常連と会わせることを目的にしていたと思ってました」 「まぁ、あそこへ行けば誰かしらは立ち寄るだろうからな」 譲治の言葉に、黒月が肯定の意を返す。 「そうすることで、他人との関わりを敬遠していた私に、人とのつながりを取り戻してくれたんだと考えていました」 「事実、そうなったわけだろ」 「えぇ、それは否定しません。あの方々には、実際に開店するまでも、してからもお力になっていただきましたし」 「それで?」
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