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*―…
撃った男は、とどめを刺そうと空姫の額に拳銃でコツンと当て、またトリガーを引こうとする。
トリガーを引こうとする寸前に男は、
「お嬢さん、悪いな。こっちは、仕事でね…」
と空姫に語り掛けるように呟く。
空姫は、月光を浴びながら眠っている。その翡翠色の髪と月光と重ねている光景を見つめてみると、何とも言えない奇妙さが気になる。
その同時にやけに胸騒ぎがする。
「にしても、どこかが化け物のように見えるな…」
不気味に覚えた男は、一秒でも早く撃ち殺さなくては!と思うがままに、トリガーを手に掛ける。
そのトリガーを引く寸前にまた暗闇の奥から知らない人が現れ、その男を何も無い真っ暗闇に引きずまれる。
「ぐうっ…」
と男は呻き声を上げバタリと倒れる。
その道から現れた人は、空姫の身体を近づき、喉をそっと触る。
「…微かだが、まだ生きている…」
「早く処置すれば、助かるな…」
と呟き、空姫をゆっくり抱き抱えながらどこに行ったのかは、まだ空姫は知らなかった。
あと僅かにしか生きられないが、あの女を再度見てみる。
やはり、あの胸騒ぎはただの気のせいじゃない。
あの女は、いつかとんでもないことをやらかす!
早く殺さないと…。
と心の奥にそう思ってた。
僅かな命の灯が今消えかかりそうになる。
そして、この世決別する時に最後に呟いた。
「あの少女は…化け物だ…」
そして、静かに瞼を閉じ、蝉のように命の灯が消える。
カナカナカナカナカナカナ
カナカナカナカナ
カナカナ…
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