†第一章 王の勅命†

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二人はその後すぐに城に戻るとドラゴン退治に行くことを王に伝えた。 王「そうか!やってくれるか!」 封「はい!琴徒と二人で精一杯頑張ります!」 王「琴徒も行くのか…退治に行ってくれるのはうれしいが、しばらく琴徒のオカリナ聴けないのは寂しいな…」 琴「そうおっしゃらないでください。必ず帰って再びここでオカリナを奏でることを誓います。」 王「うむ…気をつけて行ってきておくれ」 封、琴「はい!」 それから二人は城から戻り、明日の出発を控え、旅の支度を始めた。 封「親方!オレやっぱりドラゴン退治に行きます!」 親「なにっ!?お前一人でドラゴン退治なんて無理に決まってんだろ!」 封「一人じゃないです!琴徒も来てくれることになりました!」 親「あ?…まぁ、琴徒が一緒に行くならまだ安心か」 親方は封真に聞こえないように呟いた。 親「よしわかった。お前が決めたのなら許そう」 封「本当で…」親「だが!」 封真の声を遮るように親方は叫んだ。 親「条件が二つある」 封「条件…ですか?」 親「そうだ。これが約束できないなら行かせられない」 封「…わかりました」 親「よし。ちょっと待ってろ」 そう言うと親方は倉庫の中へと消えていった。 封「何だろう…」 封真が考えていると親方が手に布に包まれた何かを抱えて出てきた。 親「一つ目の条件は…これだ」 親方が布をめくると中から立派な剣が出てきた。 封「これは…」 親「これは今までオレが今まで作った剣の中で一番の代物だ。これを持っていくのが一つ目の条件だ」 封「でも…!」 親「いいから!もともとこの剣はお前のために作ったもんだ」 封「え…」 親「いつかお前がここを出るときに渡そうと思っていた剣だ。ちょっと早いが今のうちに渡しておこう」 封「親方…」 親「さぁ…二つ目の条件だ。こっちのほうが大事だからしっかり聞けよ。」 封「うん…」 親「二つ目の条件は…必ず生きて帰ってこい」 封「…」 親「死んじまったらもう二度とお前に会えなくなっちまう…それは悲しすぎるからな」 封「親方…ありがとう」 親「なんだよ。柄にもねぇ」 そう言って親方は笑っていたが目元には涙が浮かんでいた。 その日に親方の店から明かりが消えることはなかった。
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