2人が本棚に入れています
本棚に追加
「キャー!!」
「もうダメだ!!」
「先生!!先生!!!!」
「落ち着きなさい!落ち着け!!」
廊下は、パニックになる生徒とそれを落ち着かせようとする先生でごった返しになっていた。
「おいおい…なんだよこれ。」
俺は甲板に向かった。
慌てる多くの人をなんとか掻い潜り、やっと甲板に着いたが、そこも慌てふためく生徒で埋め尽くされていた。
「何なんだよ……」
スコールのような雨に打たれ、座り込み絶望する人、船の外に放り出される人。
そして、船は
今まで見たことのないほど巨大な渦潮へと着々と呑み込まれている。
…………!!!
この状況に唖然としていて、忘れていた。
はるは大丈夫なのか!?
「はる!!!!はる!!!」
「いるのか!!大丈夫なのか!!!」
俺は、人をかき分け甲板の先方まで行った。
はるは見当たらない。
「はる!!いないのか!!返事をしてくれ!!」
聞こえるのは、恐怖と絶望の叫びのみ。
「クソ!!頼むから返事をしてくれ!!どこにいるんだよ!!はるー!!!!!」
俺は目の前の渦に向かって叫んだ。
「 たくや?」
遠くで確かに聞こえた。
とっさに振り向くと、人混みの奥にはるはいた。
はるが走りよってきて
胸を撫で下ろしたその時だった。
船は大きく揺れて
俺は外に投げ出された。
「………!」
船とはるがゆっくり離れていく。
「いやぁ!!拓也ぁーー!!!!」
はるが手すりに捕まって
俺に手を伸ばしている。
終わったな………
頼むから、頼むから…
「夢だと言ってくれ。」
俺は渦に呑まれた。
最初のコメントを投稿しよう!