忘れ去られた島

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誰もいない……か 人どころか 船の残骸も何も見当たらない。 見えるのは 鬱蒼と茂る木々達と 角張った岩と流木の転がる砂浜だけ。 日差しがじりじりと痛い。 汗が額から垂れ、虚しさが込み上げる。 喉が渇いた…。 俺は、川を探しに森へ入った。 背丈ほどの草をかき分け進むと、川は以外にもすぐに見つかった。 高い丘から滝が流れ落ち、川となり海につながっているようだ。 俺は、すぐさま近寄り 流れる冷水を喉に流し込んだ。 「………ぷはぁ!!!」 生き返るとはこのことか、水が体中に巡っているようだ。 俺は一息つき、近くの木陰に座り込んだ。 目に入る景色はとても神秘的だ。 だが、素直に感動するほど気持ちは安定していない。 いきなり何もない島にひとりだけ流れ着いた訳で、 これからの不安ばかりが心に宿る。 「これからどうすれば……」 頭を抱えた時だった。 「お前は」 聞こえるはずのない声が聞こえて振り返ると あいつがいた。 「あんたは…鉄次か!?」 「何で俺の名前を知ってるんだ?」 そう言って、鉄次は少し俺に近づく。
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