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「誰でも知ってるよ。有名だからね。」
「有名?」
「有名だよ。学校での喧嘩騒動では、必ずあんたの名前が出るし、東高の奴ら15人も病院送りにしたっていう噂だし。」
「なんだそりゃ。そりゃ、ただの噂だな。実際は10人ほどだ。」
いや…充分だよ。
鉄次は、短い赤髪を掻きながら、俺の隣に座った。
「で、お前の名前は?」
「え、あ、俺?俺は、拓也。藤崎拓也。」
「拓也か。お前、ひとりか?」
「うん。さっき砂浜で目が覚めて、ここにきたらあんたにあった。」
「そっか…」
しばらくの沈黙が続いた。
水の流れる音が、気持ちを安らげた。
いや、鉄次に会ったことで、川の音を聞けるまでに安心することができた。
「じゃあ、生き残ったのは俺たちだけか…」
「え…?」
「俺はもっと前に気が付いて、この辺りを探索したんだが、誰も見当たらなかった。」
「そう…なんだ。」
「どうするよこれから?」
「どうするって言われても……」
「だよなー……」
また沈黙が続いた。
とりあえず、救助がくるのを待つしかないかな。
「とりあえず…さ。お腹減らない?救助を待つにしても、それまでに何とかして生き延びないと…」
「ん、まあ、それもそうだな。んで、どうする?」
「どうするって…」
クソ、ちょっとは自分で考えてくれよ。
「川もあるし魚でも取る?」
「お!それなら任せな!!山で鍛えてたからな!」
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