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気が付いたら、空が暗くなってきた。
もう日が暮れるな…
両腕からこぼれ落ちるほどの薪を抱えて、さっきの滝へと戻ることにした。
滝につく頃には、周りはすっかり暗くなっていた。
鉄次は…まだ来ていないようだ。
とりあえず薪はまとめて置いとくか。
あ、今気付いた…
火はどうするんだ?
まさか、手で木を回して火付けたりなんかはできないしな…漫画じゃあるまい。
こういう時、現代人って
ひ弱だなって思う。
「お、いるな!」
鉄次だ。近くの藪から出てきた。
熊かと思った。
!!!
……すげ。
鉄次の手には
木の枝に刺された数十匹の魚がいた。
「すごいね…それ。全部取ったの?」
「お?おう。まあな。お!薪集めたのか。じゃあ、早速焼こうぜ。」
こいつバカか。火がないんだよ。火が。
「いやー、ライターあってよかったよ。」
鉄次はポケットからライターを取出し、薪に火を付けようとする。
いやいや、しけって使えないでしょ。
「あの…濡れてしけってるんじゃ…」
「ああ、大丈夫大丈夫。渇かしたら使えた。」
んなバカな。不良ってみんなバカなのか?
俺は、鉄次が火を付けるのを目を細めて見ていた。
ジュボッッ
パキ、パキ
薪は、灰色の煙を出した。
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