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「やつが部隊長ねえ」
「何よ。オプスキュさんを悪く言うと承知しないわよ」
鋭い眼光を向けるピュア。
「ハッ。随分と懐いてんだな」
「懐いてるって……あんた、バカにしてんの!?」
狭い部屋に少女の声が響いた。
ユリクはおどけた感じで片耳を塞いで見せる。
その様子に激昂したピュアは更に声を張り上げる。
「とにかく! あんたを連れてくのがあたしの任務だから」
ピュアが散らかった部屋をかきわけるようにズンズンと歩み寄ってきた。
「やだよ。俺、行かねえよ」
「……あっ、そう」
あっさり放ったピュアは、踵を返して背を向ける。
「あんた、知ってる? 街の結界って意外ともろいのよね」
意味深に放つピュア。
結界とは街を魔物から守る為の防御壁だ。
魔法障壁ともいうが、ユリクにはその仕組みまでは解っていない。
「街から結界が消えたらどうなるかしらね」
「オイオイ。苦し紛れのハッタリかよ」
ユリクの挑発に、ピュアは後ろ姿からのぞく横顔に不気味な笑みを張り付けると、外へと出て行った。
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